急な断薬にご注意!
ちょっと残念なことがありました。
先日、知り合いの眼科の先生からのご紹介で初老の男性がお見えになりました。
訴えとしては、最近アタマがボーッとするとのこと。
話を聞くと、糖尿病の薬を1ヶ月間自己判断で飲んでいないというのです。
これまで別の病院の内科にかかっていて糖尿病の薬を3種類がっつりもらっていたのに、知り合いから「糖尿病の薬は意識がなくなったりして怖い!」と言われ、怖くなってすべて飲むのをやめていた、というのです。
血糖値を測ると、470。
案の定、著しい高血糖でした。
入院は勧めても断固拒否!という方でしたが、その場は補液とインスリン投与で切り抜け、翌日には200台前半まで下がっていました。
でも、この方。
頭部MRI検査を受けてもらうと、左後頭葉に比較的大きな脳梗塞を起こしていたのです。
糖尿病薬が怖いというか、急に断薬して脳梗塞になる方がよっぽど怖いです!(ノ_<)
しかも、この方の場合に悲しいのは、これまでしっかり糖尿病の教育を受けられてこなかったことです。
コーラをがぶがぶ飲み、アンパンなどの菓子パンを間食し、運動はほとんどしない。
それがまずいということも全く教えられていない様子でした。
これで断薬したら、悪いことが起きるのは目に見えています。
糖尿病の薬を断薬するときは、インスリンの分泌が保たれていることを確認した上で、食事療法と運動療法をしっかり頑張ってもらうことを条件に、徐々に減薬していくことが安全です。
急にやめるにしても、せめて、利益と危険性は把握しておくべきです。
そして、できれば医学的に効果と危険度を評価してくれる医師のサポートを受けることです。
生活習慣病の改善における主治医の役割とはどのようなものでしょうか。
薬を敵とせず、利用しながら、自身でも生活を改善して頂く。
あるいは、患者さんが望む方向に向かうことを、医学的見地から根気強くサポートする。
主治医はそういう存在であるべきではないでしょうか。
私自身は、患者さんに伴走するつもりで一人一人に合わせて、薬の説明、患者さんの状態の評価、治療戦略の提案、生活上の改善点の指導などを根気強く行っていくよう務めています。
前半に取り上げた患者さんについても、生活習慣を改善してもらえるよう、あれやこれや工夫して指導して、少しずつ変えていってもらっています。
こうして頑張ってもらった先に血液検査でどんどん値が改善していき、体も元気になってきたことを実感してもらえたら、結構喜んでもらえるんですよね〜^o^